クレージー福井RC
陸上競技 野坂 清二
今から 10数年程前、友だちから誘われ、立山登山マラニックに夫婦で参加していました。
富山の黒崎海岸0mをスタートし、立山の雄山神社3003mがゴールの、76㌔の上りのレースです。
厳しいコースで、体力、走力のある人が対象の大会です。途中には、高さ日本一の「称名の滝」や、「八郎坂」と言う崖っぷちの登山道もあり、「弥陀が原」や「天狗平」等の景色のよいところもあります。
何回か参加したある時、走友で伴走もしている、ある視覚障がい者の女性から、立山登山マラニックに参加してみたいと申し出があり、2012年度大会に、エントリーしました。
しかし、数日後、主催者から連絡があり、エントリーの変更を要請してきました。視覚障がい者には危険すぎて、半分のウオーキングの部にして欲しいというものでした。
彼女は、マラソンでも日本の視覚障がい者のランニングの先駆者であり、足腰の強さは、健常者のランナーの中でも負けない力を持っております。
先入観や見た目だけで障がい者を排除する事に納得いきませんでしたが、結局受け入れざるを得ず、ウオーキングの部に出場する事にしました。
ウオーキングの部は、地鉄立山駅から雄山頂上までの、25㌔程の登山です。レースなので、これでもかなり厳しいコースです。
大会は、8月下旬で、それまでに2回の試登山を行ないました。
1回目は、初めての厳しいコースに慣れず、「室堂」で引返す事に、2回目に頂上まで完踏し、大会に臨む事となりました。
当日は、先頭の道案内役に私、後ろから足元確認に妻を、それに動画撮影の為に走友と、4人1組で参加しました。
危険箇所の八郎坂は、1歩づつ声掛け確認しながらの登山道。そこを抜けると、延々とバス道路脇の木道、途中からバス道路を約12.3㌔、室堂から更に厳しい急斜面、岩とジャリの難コースの雄山を目指します。
全力を使いましたが、余裕で時間内にフィニッシュした感動は、今も忘れません。
でも、まだ油断は出来ません。頂上から室堂まで、帰りが残っています。視覚障がい者にとっては、下りの方がより危険で厳しいのです。
下山して室堂に着いて、本当の意味の大会が終わりまた。
ここを経験した彼女は、いろんな高山も、自信を持って登る事が出来るようになりました。
今は、里山の雪山は鈴音を頼りに1人で登れる喜びを感じているようです。彼女の精神力と忍耐力の強さに敬意を持って付き合いをさせてもらっています。