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リレーエッセイ

ランストーリーは突然に

2022/4/27(水)

陸上競技 河村 力男

あの日あの時あの場所で出会わなければ

彼女との出会いは2007年初夏

 

私は、2006年9月、九頭竜川堤防にほど近いところに引っ越しました。

メタボ検診が2008年4月から始まることになっていたので、それなりに健康に気を付けようと思い、引っ越した翌年3月から九頭竜川サイクリングロードでジョギングを始めました。

もともと体をうごかすことが大好きだったので川沿いをジョギングすることがとても楽しかったです。

ジョギングを始めて2か月が過ぎたころ男女3人(男2,女1)で走っている方と何度かすれ違うようになりました。あいさつをする程度で特段ことばをかわすこともありませんでした。

 

そんなある日いつもはすれ違っていたのですが、その日は私が後ろから追いかけるような形になりました。

すれ違っているときには気が付かなかったのですが男性の方二人が寄り添うように走っていました。

その方たちは白いロープのようなものをお互い手に握りながらランをしていました。ロープでつながっていることで寄り添うように見えたのです。

その少し横を走っていたのが彼女でした。

やがて3人に追いつきいろいろ話を聞かせていただきました。ロープのこと、視覚しょうがいのこと、伴走のことなどでした。

伴走とは視覚にしょうがいがある方の目となって一緒に走るという行為でした。直径50センチくらいのロープやひものようなものをお互いにぎって走ります。

伴走をされていた方がNさん、伴走をしてもらっていた方が彼女の夫“西島徹”さんでした。そう彼女とはのちのパラリンピアン“西島美保子”さんです。

2016年リオデジャネイロパラリンピック、2020年(実際は2021年)東京パラリンピック連続出場の快挙を成し遂げました。

 

私が西島美保子さんの伴走をさせてもらうようになったのは3年後の2010年からです。

Nさんから「河村さん、西島美保子さんの伴走をしてもらえないだろうか」「僕の走力では西島さんの伴走を続けていくのがしんどくなってきた」とのことでした。

3年の間に何度も伴走を見てきたのでさほど迷うこともなく受けさせていただくことにしました。しかし見ると実施するのとは大違いでした。

「横について走ればいいのだろう」くらいで伴走を始めたのですが、いざ伴走をしてみるといろんなことが分かってきました。

限られた長さのひもを持つことでお互い体がぶつかる、身長差による歩幅の違いにより手足が合わなくなる、一般道を走るときなどは段差や障害物の有無を口頭で伝えるなど沢山のことを学ばせて頂きました。

伴走者として一番感じたことはすべてをゆだねられているということです。今後も緊張感をもって伴走をつづけたいと思います。

 

最後に西島美保子さんは第一線をしりぞく表明をしていませんのでまだまだ現役で走り続けると思います。

 

目指せパリパラリンピック。

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