福井県立福井特別支援学校
ゴールボール 三上 信雄
特別支援学校に勤務して13年目になる。その間、特別支援教育における体育科の教員として、視覚障がい・肢体不自由のある児童生徒と、授業や部活動を通して様々なスポーツに取り組んできた。また、地域の小中学校に出向いて、パラスポーツの啓発活動も積極的に行っている。初めは全く分からなかったパラスポーツの世界だが、今ではその面白さと奥深さにすっかり魅了されている。今回は、これまでの活動を振り返りながら、私が日頃から障がい児者とスポーツ活動を行う際に心がけていることをご紹介したい。
●障がいのある子どもたちにとってのスポーツの入口
特別支援学校に在籍する児童生徒にとって、体育の授業が運動やスポーツの入口になることが多い。そのため、授業では子どもたちが「できた!」、「またやりたい!」という気持ちになれるような授業づくりを心がけている。体育の授業で体を動かすことの楽しさを実感することで、運動・スポーツへの興味関心を引き出し、日常的な運動習慣へと繋げていきたい。
私自身にとっても、子どもたちが活動する様子を想像しながら用具やルールを工夫することは楽しく、スポーツの指導においても大切なことの一つであると考えている。工夫したことがうまくいかないこともあるが、失敗を元に子どもたちとともに改善していく過程は、障がい児への運動指導でしか味わうことができない面白さだ。
●個々のニーズに寄り添う
私たちがスポーツに求める要素が様々であるように、障がいのある子どもたちにとってもニーズは様々だ。競技スポーツとして取り組み、より自分の技術を高めたい子ども。余暇活動の一つとしてスポーツに楽しみたい子ども。スポーツはしないが、見ることに熱中している子ども。重度障がいの子どもにとっては支援者と共に姿勢を変えることで受ける感覚的な刺激を喜びと感じることもある。また、指先しか動かせない子どもが、eスポーツと通してスポーツにのめり込むケースもある。そのため、日頃から子どもたちのニーズがどこにあるのかを意識しつつ、どのようなサポートが必要かを考えるようにしている。特別支援教育における体育の役割は、一人でも多くの障がいのある子どもがスポーツの持つ魅力に触れ、楽しいと感じてもらうことであると私は思っている。そのためにも、高いアンテナを張って様々な情報収集を心がけ、指導の幅を広げたい。
今後も、子どもたちとの関わりを大切にしながら、一人でも多くの障がいのある子どもたちがスポーツに触れ、楽しむことができるように活動していきたい。